- 沐浴前の説明
- 沐浴指導が行われる病院の2階には少し緊張した面持ちのパパがそわそわと開始を待っています。
リラックスした表情でカメラを準備するママと対称的です。
なめらか曲線の浴槽のとなりには清潔なタオルなどが準備されています。
取材に伺ったのは真冬のとても寒い時期でしたが、院内は温かく、お湯を張った浴槽からは湯気が立ち上り、少し蒸し暑く感じるくらいです。
助産師さんによる説明がスタートし、手渡された資料を真剣に見つめるパパたち。
笑顔の素敵な助産師さんは優しいトーンでお話を続けます。
気をつけること、安全で洗い残しのないようにするための洗い方、そして赤ちゃんがどうすればリラックスして沐浴出来るのか、分り易く丁寧に説明して下さいます。
- 先輩赤ちゃんをモデルに沐浴開始
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先にエンゼル病院で生まれた赤ちゃんとそのご両親に協力頂き、助産師さんがお手本を見せます。
小さな浴槽を真剣に覗き込むパパたち。
肩を寄せ合って、真剣に話を聞いている姿は微笑ましくもあり、頼もしくもあります。
- いよいよ沐浴にチャレンジ
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その日、沐浴指導に参加されていたお父さんは4名。
初めてのお子さんのパパは、緊張の面持ちで我が子を抱き、微笑む助産師さんとカメラを構える奥様を味方に沐浴にチャレンジです。
赤ちゃんの背中を洗うために片腕に乗せたりとコツがいりそうな部分は、しっかりと助産師さんがサポート。
パパたちの額には室温のせいだけではない汗が流れ、無事に終えるとほっと一安心の様子です。
慣れた手つきで赤ちゃんを抱え、無駄なく洗い上げ、普段から育児に参加していることが伺われるパパもいました。
そんなパパはいつもよりちょっと格好よく見えたりしたかもしれません。
そんな中、一番強く印象に残ったのは赤ちゃんの視線です。
服を脱がせるとき、お湯に入れるとき、新しいおむつをつけるとき。
赤ちゃんはパパを一生懸命見つめていました。
微笑みかけるパパを目をそらさずに見つめている小さな赤ちゃんは、とても不思議な存在に感じられました。
赤ちゃんが実際に目が見えるようになるには数ヶ月かかるといいますが、あの表情を見ると「目で見る」というよりは、全ての感覚で何かを必至で感じているようでした。
- 赤ちゃんの感覚
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お腹の中でも赤ちゃんは外の音を聞いています。
妊娠5ヶ月頃から、お腹の中にいる赤ちゃんは音を感じることが出来るようになります。
パパが赤ちゃんにお腹の中にいるときから話しかけ、ママを穏やかな気持ちにさせていれば、生まれてきた赤ちゃんはパパの声を聞くとリラックスするといったお話を以前に聞いたことがあります。(参照:http://www.matarune.jp/index2006.html)
お腹の中にいるときから、赤ちゃんは立派な人間です。
しかもへその緒がママと繋がっている分、ママの本音をしっかりキャッチしているのかもしれません。
勝手な憶測ですが、そんなことを考えながら見学していると、取材に御協力頂いたパパたちは、きっとママが妊娠中もママや赤ちゃんとうまくコミュニケーションをとることが出来ていたのではないかなと感じました。
赤ちゃんの表情を見ていると、「この人は大丈夫」と安心しきっていて助産師さんに触れられるのとは違った顔を見せているように見えました。
− 取材を終えて −
沐浴中の赤ちゃんは本当に気持ちが良さそうでした。
真剣な眼差しのお父さん、ちょっと心配そうに見つめるお母さん、そしてそれを見守るスタッフの皆さんという幾層にも重なった温かい想いが満ちていて、取材をしていても本当に幸せな気持ちになりました。
こういった空間にいると「赤ちゃん」という存在が、如何に人々に幸せをもたらすか実感することが出来ます。
少子化社会では、こういった幸せな瞬間に立ち会うことは難しくなっています。
その分、今回御協力頂いたエンゼル病院のように色々な機会を作り、少しでも多く赤ちゃんとのコミュニケーションをとるお手伝いをして下さる産婦人科医院、助産院も増えています。
妊婦さんたちには、是非このようなチャンスを活用して、旦那様のパパ・パワーを目覚めさせて欲しいと感じました。
ちょっと意識を変えるだけで、沐浴という日々の習慣もとても大切な絆づくりになります。
みんなで楽しみながら、幸せな時間を積み重ねることで絆を強めるという、1つの貴重な体験でした。
取材/文章 西 美紗絵(Eu-D)